Happy Man

2022.07.20 お知らせ

彼と出会い、彼に嫉妬の感情を抱くのに多くの時間は必要なかった。

出会いは(ざっくり言うと)次の社会について考える学びの場であった。多くの人は日本の教育システム、資本主義を根底とする諸々のシステムに影響を受け、その影響が行動や意識に反映されている。ご多分に漏れず僕も。そんな状況に僅かの違和感を覚えたことをきっかけに、件の学びの場に参加することにした。

そこで出会ったのが彼だ。名前は‘‘幸せな男’’と書いて幸男(ゆきお)という。

驚くほどに共通点(もしくは類似点)が多かった。地元の最寄り駅が同じであり、関西に資本を置く上場企業で働いており、年齢も1つしか違わない。意識しない訳が無く、違和感を携えながら同じ学びの場に参加したのだから、すぐに意気投合した。(と僕は思っている。)

彼の行動は軽やかに映った。本当に会社員か?と思う程、物理的にも精神的にも軽やかに行動し、あちこちで色んな人と会い、ワチャワチャと楽しそうにしている。SNSを通じてその様子が伝わってくる。それが羨ましかったし、嫉妬の感情が湧いた。軽やかに行動出来ない自分に少し嫌気がさした。

しばらくして、そのことを彼に打ち明けた。
「お前のSNSの投稿を見ると反吐が出るぜ。」とまでは言ってないが、割と赤裸々に自分の感情を吐露したことは覚えている。彼はそんなゴミみたいな僕の感情にも真正面から向き合ってくれた。そして、自身も色んな葛藤を抱えていることを話してくれた。

ハッとした。
彼に‘‘お気楽なHappy Man’’とラベルを貼っていた自分の思慮の無さに絶望した。

この出来事以来、彼とはこれまで以上に色んなことを話すようになった気がする。
彼はよく、‘‘自分が幸せになることが、結果的に周りを幸せにすることになる’’と言う。最初聞いた時は、「何じゃそら!?」と思った。論理が破綻していると思った。ただ、彼が幸せそうに、楽しそうにしている姿に多くの人の共感が集まる様を見て、なるほどそうかと徐々に腑に落ちていった。自己犠牲は持続可能ではないし、自己犠牲に根ざす行動は、不健全なカタチで他者に攻撃性を発揮してしまうことも何となく分かってきた。彼はどこにだって人に会いに行くし、どこでだって楽しんでいる。これは才能だと思う。僕には出来ない。でも、出来ないことにもう嫉妬の感情はない。

約1年前から彼は‘‘1年間の育児休暇’’に入った。この行動が周囲の注目や共感を集めた。毎日毎日、本当に楽しそうだった。もちろん、良く思わない人もいるらしい。そのことに彼は「しゃあない」と笑う。世界一純粋な「しゃあない」だと思った。そう、「しゃあない」のである。自分の人生に他者の課題を持ち込みたくはないものである。彼は本に書いてあるような大切なことを、自身の行動から教えてくれる。

育休から明けて、程なくして彼は会社を退職した。これから、新たな一歩を踏み出す。極端なこと(1年の育休、彼にとってはExtreme Happy Life)をしたことで、どうしても会社の水が合わないと思う部分があったようだ。ただ、極端なことをしたお陰で中庸を知れたと彼は言う。これは、本質だと思う。簡単に中庸を知ることは出来ない。出来る限り、両極端を見た方が良いと思う。本当の両極端ではなくとも、仕事も遊びも、とことんやり切ることの大切さを物語っているように思う。

改めて、僕のゴミのような感情に向き合ってくれた彼に感謝したい。お陰で少しは自分の人生を生きられるようになった。今勤めている会社を辞めたいとも思わないし、彼の生き方に過度な憧れも抱かない。彼は今後も自身を満たしながら、周囲を幸せにしていく、それは間違いないと思う。

これからも特等席で彼の人生を見続けたい。たまに友情出演をさせてもらえたら、この上ない喜びである。

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