脱成長で本当に人は満たされるのか?~スポーツの果たす役割~

2025.06.26 マガジン

現代の資本主義経済は、しばしば競争の構造を持ち、格差を助長する要因となっている。
市場における競争は、企業や個人が利益を追求する過程で、勝者と敗者を生み出す。
このような状況は、貧富の差を拡大させ、社会における不平等を深刻化させることが多い。
ほとんどの人がこのことに気づいており、近年では脱成長や贈与経済といった平和的で牧歌的な社会モデルが提唱されている。
これらのモデルは、物質的豊かさを追求せず、コミュニティや人間関係の質を重視するものである。
もし仮にこのような世界が実現しても、満たされない欲求が残るのではないかと思う。
資本主義経済の過熱競争の根底には、人間の狩猟本能や生存本能が存在している。
歴史的に見れば、人類は食料を確保し、生存を維持するために競争してきた。
この本能は現代社会においても強く残っており、「競争したい」という欲求は抑えるのが難しい。
資本主義経済における競争は、こうした本能に基づいているため、個人や企業が成功を収めるために他者を凌ごうとすることが常態化している。
収奪の構造や地球の汚染も、根底に悪意があるわけではないように思える。
生きるために命を燃やしている結果の現状のようにも映る。

脱成長や贈与経済という概念では、狩猟本能や生存本能が満たされにくいのではないかと考える。
その解決策として、スポーツが重要な役割を果たすと考える。
人間には程度の差こそあれ、競争を通じて自己を証明し、成長していきたいという欲求がある。
単に物質的豊かさを追求しない社会では、満たされない欲求が置き去りにされるように感じる。

スポーツは、競争を通じて自分の限界に挑戦し、他者と切磋琢磨する場を提供する。
また、スポーツは自分のペースで楽しむことができるため、個々のニーズに応じた形で競争を楽しむことが可能である。
このプロセスは、資本主義経済の負の側面を緩和する役割を果たす可能性がある。
スポーツを通じて得られる達成感や仲間との絆は、物質的成功とは異なる形で人間の欲求を満たすことができる。
僕はマラソンをしており、かつてはゴルフにも熱中していた。
4時間切り、100切りの次は、3時間半切り、90切りと、その段階に応じた目標をクリアしていくのがとても楽しかった。
このように、個々の目標設定ができる点は素晴らしい。
これまで、病気や障害などでスポーツに参画しづらかった方々向けのユニバーサルスポーツが普及しつつあることも希望だ。
経済活動においては、“自分のペースで楽しむ”ことが許されない場面が多いように感じる。
さらに、スポーツにおける勝者と敗者の関係は、資本主義経済におけるそれとは大きく異なる。
資本主義においては、勝者が利益を独占し、敗者が置き去りにされることが多いが、スポーツには「Good Loser」という考え方が広がっている。
この考えは、敗北を受け入れ、相手を称賛し、次に向けて前向きな姿勢を持つことを意味する。スポーツにおいては、勝ち負けを超えた人間の調和が実現可能であり、これは社会全体にとっても重要な価値観である。
先日、日本ゴルフツアーで惜しくもプレーオフで敗れた堀川未来夢選手の勝者を称える態度は素晴らしかった。
とても清々しい気持ちになった。

このようなスポーツを通じて得られる教訓や経験を、日常生活やビジネスの場面でも応用できれば、より良い人間関係や人間社会を築くことにつながるだろう。
人間の本来備わった本能を慈しみ、味わいつくし、調和のとれた豊かな社会をつくるうえで、スポーツの果たす役割はとてつもなく大きい。

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