イニシア恥部

2023.08.29 お知らせ

地方営業所のドサ回りを一生続ける、そんな風に思っていた自分が企業の社会的責任やサステナビリティについて考えたり、企画を実行したりする部署に異動になったのが2019年4月。4年半ほど前である。

異動の内示を受け取ったときは、「何でオレやねん!?」と、この人事の意思決定をした誰かに盛大に突っ込みを入れた。“郷に入れば郷に従う”僕の好きな言葉ですが、異動するや否や、今ではつけなくなったSDGsのバッヂをつけて、金融機関やコンサルティングファームや国際NGOの開催するセミナーなどに出席し、そこで学んだことを会社に報告していた。

ESG、カーボンニュートラル、人的資本、アクティブ投資からパッシブ投資、サステナビリティ・インデックス、医療へのアクセシビリティ、そんな言葉を羅列しながら自分でも分かっているのか分かっていないのか良くわからないレポートを書いては上司に提出していた。

地方の営業所で毎月、四半期、半期の数字に追われ、数字が足りなければお客さんに「すみません。今月の数字が足りません。あと、~~(製品)を〇箱買ってくれませんか?」と頭を下げる日々だったことを思うと、ガラッと生活が変わってしまった。

新しい部署では、新鮮さもありそれなりに楽しく過ごすことが出来た。統合報告書に自分が書いた文章が掲載されたりすると、何となく会社の持続性に貢献しているような気にもなった。

自分の良くも悪くもある点なのでしょうが、ある程度、仕事に慣れてくると、色んなものの“本質”を追究したくなります。

本質を追究する工程としては、ホンマか?と突っ込みをいれていくこと。社外からはESGの領域の課題に取り組むことが企業価値を引き上げるというメッセージが発信され、社内でもサステナビリティを推進するポジションにあるメンバーはそのことを役員陣に訴求する。その過程で自分はだんだんと“本質っぽい”ものに気づいてしまうのです。

ESGの領域の課題に頑張って取り組んだところで、投資家からみると一定のネガティブスクリーニングにはなりうるが、それによって大きく株価が上がることもないし、イノベーションの創出に繋がることもほとんどない。特に一定のハードルレートが存在してしまっている大企業では、これまでのビジネス以上に利益が出ない事業には保守的になってしまう。

“社会課題”をビジネスに繋げると言うと耳触りはいいが、本当にそれをやりきる覚悟や胆力がある人間なんて今の日本の大企業にはほとんどいない。つまり当時、僕が関わっていた“サステナビリティ”というものは、誰かがクリティカルな質問をした途端に崩れてしまう砂上の楼閣であったと思う。

日に日に大きくなっていく自分の中の違和感、衝動的に“正解”を知りたいという幼稚性も相まって、様々な知識に手を付けだした。そこでは、資本主義システムを前提から問い直す考え、従来とは全く違う方法で組織を運営する方法などについて学ぶことが出来た。ポスト資本主義、パーパス経営、脱成長、循環経済、自律分散型組織、、、耳触りのよい言葉が並んでいた。自分が求めていた、本質に到達したような気がしていた。本質を知ったからには、それを普及させるのが自分の役割だと思い、会社にそれらの本質を普及させようとした。結果、なかなか理解されない現実に直面することになった。「何で理解出来ないねん!」と怒りの感情すら湧いてきた。無意識に自分が良いと思うものは他の人も良いと思ってくれると思っていた。既に完成しているシステムを壊しかねない考えを導入することで、困る人が出てくることも一切考えていなかった。上位の決裁者のインセンティブ(僕が提案することを受け入れてもらうことで、どのようなメリットがあるか)のことも一切考えていなかった。

僕が振りかざした正義の御旗は、周囲から見ると、僕の考えていることの方があなた方よりも人として真っ当ですよ、というエゴが透けて見えていたと思う。今、思うととても恥ずかしい。僕が到達したと思っていた本質なんて、本質でもなんでもなかった。

もし、本質というものがあるとするならば、世界は一つではない、住む世界は自分で選べる、住む世界は好きか嫌いかで選んでもいいということ。あの時振りかざした正義の御旗は僕の悪意だったと思う。

そんな中でも、無力ながら、新しいパラダイムへの移行に向かってジタバタしながら死んでいきたいなと思います。ジタバタしたという事実は自分が死んだ後も消えませんからね。

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