対談「ビジネスの力で社会を良くするには」~後編~
2021.06.11 お知らせ(ソーシャルグッド志向の企業と人材を繋ぐプラットフォーム、GreenGreenキャリアプラットフォームローンチ記念の経営者対談イベント。前編はこちらです)
◆資本は金融だけじゃない「愛」じゃないのか
ここから「資本は金融資産だけではない」と熱く語り始めたふたり。なんと話は「愛」について、会社への、人類への、地球への、さまざまな愛とソーシャルグッドな社会のことへと話題が広がっていきます。
―高藤
おふたりの話を伺っていると、お金が資本というのは当然ありますけど、人類とか社会への愛や想いが資本となっている。想いがあるから人が集まる、という印象を受けます
―讃井
そうですね、金融以外の資本があるのではって話ですね。
―高藤
資本として、素敵な愛がある会社ほど伸びていると考えると楽しいですね。
―讃井
ライフイズテックのITリーダーインターンシッププログラム卒業生が創業メンバーのひとりで、けっこう話題になっている会社があるんですよ。
ラブグラフというのですが、カメラマンとカップルや家族をつなげる、愛を写真にして残しましょうがコンセプト、その会社は愛を全面に出している。
こういう会社にはお客さんのファンがつくんですよね。
うちのスクールにおけるメンター(講師)も、熱量があってね、それも愛ですね。
―野澤
そうだ、ピジョンさんの経営理念は知っていますか?
ずばり愛ですよ。
すごいですよ、社是が〝愛を生むのは愛のみ〟ですから。大企業でも愛を言葉にするようになったところに社会の変化を感じます。
―高藤
お金だけが資本ではない。言葉にするとあれですけど、広い意味での愛って力があるんですね。
・会社は社員のためにも変化・進化させる
―高藤
野澤さんのところは湘南にオフィスを作られたのですよね。
―野澤
湘南オフィスですね。けっこう、反対もされました(笑)
こういう状況になってオンラインが当たり前になりましたが、それによる揺り戻しがくると思ったんですよ。
精神的に疲れてくるじゃないですか。
だって、オンラインで面接して入社して半年たっても顔もあわせていないメンバーがいるわけですよ。それはどうなのかなと思いました。
といって会社に来ることを強制したくない。だから、行きたくなるオフィスを作りました。シャワーもありますからサーフィンして着替えて仕事もできます(笑)自然に触れることで自律神経も整うでしょうしね。
愛でいえば、僕らが生まれていることさえ奇跡、親とか先祖に感謝することは大事だなとも思ったので、親孝行制度といって親と食事をする、それを会社として補助しますというのもやってます。
―讃井
それってほんと愛ある、ウェルビーイングな会社の姿ですね。
―野澤
スタートアップ企業は死ぬほど働くみたいなのが最初の頃あったと思うんですけど、それは違う。
家族であったり趣味であったり、自分の生活が担保されていて、全体性を満たしてこそだと思うんです。そういう社会、働き方を示していこうよ、と僕は会社でみんなに話しています。
―高藤
野澤さんのところはAIの会社なんだけど、ウェットというか人間性重視の部分が強いんですよね。
―野澤
そうですね、よくAIが人を評価し切り捨てると言われるけど、そうならないようにする。愛のあるAIを作り世界を変えていく責任があると僕は思っています。
◆これからのソーシャルグッドの取り組み
企業が成熟するにつれ別の課題がうまれてくる中、常により良い会社へと進化し続けるZENKIGENとライフイズテック。ここでは社内に目を向けて、働き方や社員への取り組みについて伺いました。
・社員ひとりひとりが可能性を実現できる社内環境へ
―高藤
ソーシャルグッドな企業として気を配っていらっしゃる点についてお伺いしたいのですが。
―讃井
ソーシャルグッドやSDGsという理念だけがキラキラしていて現場で実現できていない、社内でできていないという会社があるのも事実です。僕らも社内でうまくできていない時もありました。
―高藤
なるほど。
―讃井
僕らは、中高生と向き合うのと同じように、社員もひとりひとりの可能性を最大限伸ばすことをミッションにしています。
マネージメントポリシーや制度の再構築も行っている最中です。理念、思いで走ってきたけど、社内も進化するタイミングかなと思っています。
オンラインでやる部活とか、あとこれは中高生向けのテックキャンプでも行っている謎解きとかを行って、社員同士のつながりを深めようとしているところなんです。
謎解きをやると大人も盛り上がって、違う部署の人たちとも仲良くなれる。そんなアクティビティもこれからもっと進めていくつもりです。
―野澤
企業として成長し社員が増えてくると、組織運営は難しくなります。
オンラインだけだとコミュニケーションがリアルより作りづらいのは課題のひとつで、だからこそ湘南オフィスを作ったってこともあるんですけど。
それと、今、讃井さんがおっしゃった謎解きのコンテンツいいですね。
目的がありきのオンラインだと仕事ですけれど、仕事とは関係ない、ムダなところで人間関係が形成される部分があるなと感じていて、何か良い方法はないかと探しているところなんです。
謎解きゲームとか、本当にいいな、うちでも取り入れたいです!
―高藤
社員で謎解きをする!楽しそうです。
―讃井
会社は変化していくもの、理念と事業の魅力はできたけど、細かい点でバージョンアップが必要だと思っています。
僕も野澤さんのアイデアを今日いろいろ聞いて参考にしたいなと思っています。
◆ソーシャルグッドな転職を考えている方へのメッセージ
―高藤
最後におふたかたから、社会的な意義を考えて転職の方向へ舵取りしている方へ、メッセージを頂けますでしょうか。
―讃井
今、会社の価値観は変化しつつあり、進化しているタイミングです。
ソーシャルベンチャー企業は、利益と社会インパクトを両立する難しさはあるけれど、やりがいって考えなくてもいいくらい、やりがいにあふれています。
そして教育は今まさに大きな変革期、教育に寄与したいと考えているなら今やらなくていつやるの、っていうくらい、今がチャンスです!
―野澤
社会的には変革なんて難しいという空気感もあります。
でも、明治維新を考えてみてください。中心的な志士はせいぜい100人程度ですよね。100人の志士で世の中を改革した。当時の人口比で考えると、今なら300人かな。
そう考えるとスゴクないですか、たった300人の本気の人がいれば社会って変えられるんですよ。
僕はひとりひとりの力で社会を変えていけることについて、1ミリも疑っていません。
維新の夜明け前ともいえる今こそ、能力を発揮すべき時です。
―高藤
明治維新ですか!維新、改革のときですね。
―讃井
黒船がきたようにね、コロナという大きな脅威に襲われた中で、変革のタイミングがきていると僕も感じています。
事実、教育業界にいると変革を体感できます。
ノブレスオブリージュって言葉がありますよね。あれは高貴な人は社会貢献の義務があるという意味ですが、僕は、能力のある人は社会に貢献する義務がある、と思っています。
―高藤
明治維新にはビックリしましたが(笑)でも、夜明け前の今こそ、本当に自分が求める働き方ができる大きなタイミングだと、今日、おふたかたの話を伺って確信しました。
社会への思いを重視した転職が叶うよう、私ももっとがんばろう!という気持ちです。
お忙しい中、ありがとうございました。
■プロフィール■
ゲストスピーカー
ZENKIGEN代表取締役CEO 野澤 比日樹
1998年株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)新卒入社、1999年に創業期のサイバーエージェントに入社、事業責任者として当時最短で営業利益1億円を突破。2011年にはソフトバンクアカデミアに外部1期生として参加、孫正義会長から声がかかりソフトバンクグループ社長室に入社。その後2017年株式会社ZENKIGENを創業。伊藤忠商事やソフトバンクなど大手企業450社以上の採用DXを支援、独自AIエンジンの開発にも取り組み、人とAIが調和した誰もが全機現できる社会の実現をめざす。
ライフイズテック株式会社取締役 讃井 康智
東京大学教育学部卒業後、リンクアンドモチベーションでのコンサルタント勤務を経て東京大学教育学研究科にて博士課程まで在籍。専門は教育政策・学習科学。全国の学校や保育園での協調的・創造的な学びづくりを支援。2010年にライフイズテックを創業。中高生向けIT教育サービスでは世界2位まで成長。学校向け教材などオンライン教材も提供している。現在は各地の教育委員会の専門委員やNewsPicksのプロピッカー(教育領域)も務める。
GreenGreen運営
プロビティ・グローバルサーチ株式会社代表取締役 高藤 悠子
大学卒業後、メーカーの海外営業を経てMBA人材・コンサルティングファームの人材に特化した人材エージェントに勤務。その後タイでJACリクルートメントタイランドの執行役員として事業拡大をしたのち、帰国しプロビティ・グローバルサーチ株式会社を設立。「よい会社によい人材を繋ぎ、よりよい社会の実現を」をモットーに、ソーシャルグッド・SDGs志向の企業とリーダー人材をつなげる人材エージェントを経営。東京都女性ベンチャー成長促進事業APT Women第5期選出。
イベントリポート/大橋 礼